大きな不満はないのに
会社員だった頃の私は、京都の実家で暮らし、安定した職場で働いていました。
生活に大きな不便はありません。
明日から急に困ることもない。仕事へ行けばお給料が入り、帰る家もある。
平和でした。
それなのに、心の片隅には、
「私の人生、このままでいいのかな」
という声がありました。
毎日が嫌で仕方ないわけではありません。
むしろ、恵まれているのだから不満を言ってはいけないような気もする。
でも、なんだかすっきりしない。
幸せなはずなのに、人生から少しだけ置いていかれているような感じがしました。
平和な舞台にできたエアポケット
以前、占星術を学んでいたときに、「人生のエアポケット」という言葉を知りました。
今の場所に大きな問題はない。
けれど、前へ進もうとすると、見えない壁が立っている。
あの頃の私にぴったりの言葉でした。
セラピストになりたい。
東京で一人暮らしをして、好きなことを仕事にしてみたい。
そう思っていたのに、今ある安定を手放すのは怖い。
平和を守りたい私と、知らない場所へ行きたい私が、同じ舞台の上で引っ張り合っていました。
外から見れば何も起きていなくても、内側ではずいぶん大きな場面転換が始まっていたのだと思います。
不満ではなく、次の自分の声
「このままでいいのかな」と思うと、今の仕事や暮らしが間違っているように感じることがあります。
けれど、今までの人生を否定しなくても、次へ行きたいと思っていい。
安定した職場で働いた時間も、心のことを学び始めた時間も、今の私につながっています。
古い舞台を壊さなければ、新しい舞台へ行けないわけではありません。
ただ、これまで自分を守ってくれた脚本が、今の自分には少し窮屈になっていることがあります。
人に合わせていれば平和。
安定していれば安心。
大きな問題がなければ幸せ。
どれも間違いではありません。
それでも心が動かなくなったのなら、別の望みも聞いてみる時期なのかも。
答えが出る前の時間も、人生の一場面
だからといって、すぐに仕事を辞めたり、遠くへ引っ越したりする必要はありません。
私も、思った瞬間にすべてを変えられたわけではありません。
気になる本を読む。心のことを学ぶ。自分が何に反応し、何を怖がっているのかを知る。
小さなことを重ねながら、少しずつ次の自分が見えてきました。
エアポケットにいるときは、止まっているように感じます。
でも、何も起きていないわけではありません。
次の場面へ行くために、これまでの脚本を読み返している時間でもあります。
幸せなのに、なんだか満たされない。
そんな自分を、わがままだと片づけなくてもいいのだと思います。
その違和感は、いまの人生を捨てろという合図ではなく、
「私は、この先どんなふうに生きたい?」
と、次の自分が舞台袖から声をかけているのかもしれません。
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