私には、感情を書き出すためのノートがあります。
人に見せるものではないので、きれいに書こうという気持ちは一切ありません。
心が揺れた日は、殴り書きのような黒い文字が、ページいっぱいに並びます。
腹が立つ。
どうして私が、こんな思いをしなければいけないのか。
悪いのは、全部あの人ではないか。
書けば書くほど、恨みつらみが増えていくこともあります。
そして最後には、そんなことを考えている自分まで嫌になってきます。
「私、なんでこんなに性格が悪いんだろう」
感情を出して少し楽になるはずが、今度は自己嫌悪の幕が上がります。なかなか忙しい人生劇場です。
「いい人」の舞台から降りられない
どす黒い感情が出てきたとき、それを消したくなるのは、「私はいい人でいなければならない」という脚本があるからかもしれません。
人を嫌ってはいけない。
悪口を言ってはいけない。
怒り続けてはいけない。
そんな決まりを守れなかった自分を、舞台からつまみ出そうとします。
でも、嫌な感情を持たない人になることと、嫌な感情に振り回されないことは別です。
心の中を、幼稚園だと思ってみる
自分が幼稚園の先生になったところを想像してみてください。
教室には、怒っている子、泣いている子、笑っている子、黙っている子がいます。
気に入らないからといって、怒っている子だけを外へつまみ出すでしょうか。
たぶん、出しませんよね(笑)
「何があったの?」と、少し話を聞くのではないでしょうか。
感情も、それと似ています。
どす黒い顔をした感情にも、そうなるまでの出来事があります。
怒りの後ろに、悲しさがいることもあります。
恨みの後ろに、「本当は大切にしてほしかった」という気持ちが隠れていることもあります。
黒い文字を書き終えたら、すぐに反省会を始めるのではなく、ノートを少し離れたところから眺めてみる。
「ずいぶん怒っているな」
「それほど嫌だったのだな」
まずは、そのくらいでいいのだと思います。
追い出さずに、席をつくる
人生劇場には、感じのいい登場人物だけが出てくるわけではありません。
意地悪な自分も、執念深い自分も、泣いている自分もいます。
一人を消してきれいな物語にするより、「この人は、なぜこんな役をしているのだろう」と見てみる。
そうすると、感情に飲み込まれる場所から、舞台全体を見渡す場所へ少しずつ戻れます。
どす黒い自分が出てきても、すぐに追い出さなくて大丈夫です。
まずは隣に座って、何があったのか聞いてみる。
その感情は、あなたを困らせるためではなく、見落としている何かを知らせに来たのかもしれません。
次は、どの人生劇場をのぞいてみますか?
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