一粒800円のチョコが、値段の基準を変えた

一粒800円のチョコを買ったことがあります。

一粒です。

800円あれば、ちょっといいケーキが買えます。私の中では、一粒300円か400円くらいが最高級のチョコでした。

あんな一口でなくなるものが800円・・・。

高すぎない!?と思いました。

800円のパンチ

それでも、「なんでも体験」と思って買ってみました。

一粒を母と半分に分け、さらに三等分に切りました(笑)

つまり、一人分は小さな破片が三つです。

一粒のチョコをここまで切り刻む家も、あまりないと思います。

その小さな破片を口に入れただけで、カカオの風味が一気に広がりました。

濃い。

とにかく濃い。

一口で丸ごと食べたら、受け止めきれないのではないかと思うほどでした。

値段が高くても、普通のチョコとそれほど変わらないでしょう。そんなふうに、少しなめていたのです。

ところが、一粒800円のチョコには、ちゃんと「800円のパンチ」がありました。

値段だけでは、体験の大きさはわからない

買う前に私が比べていたのは、チョコ一粒の大きさと800円でした。

小さいものに800円は高い。

それは間違っていません。

でも実際に買って受け取ったのは、小さなチョコだけではありませんでした。

切り分ける時間。

口に入れたときの驚き。

今まで食べていたチョコとの違い。

「チョコとは、このくらいのもの」という自分の基準が変わる体験。

値札を見ているだけでは、そこまではわかりません。

自分の引き出しを一つ増やす

私たちは、自分が知っている範囲の中で「これはこういうもの」と決めています。

高いものも、行ったことのない場所も、やったことのない仕事も、「知っている引き出し」だけで想像します。

もちろん、何でも高いものを買えばいいわけではありません。

ただ、少し心が動いたときに、一度だけ自分の基準の外へ出てみる。そんなお金の使い方があってもいいと思うのです。

体験した結果、「やっぱり私には普通ので十分」とわかることもあります。それも立派な収穫です。

一粒800円のチョコは、毎日食べるものにはなりませんでした。

でも、チョコの基準が一段増えました。

お金で買ったのは一粒のチョコで、持ち帰ったのは、今まで知らなかった世界の引き出しです。

小さな破片三つで数日分くらい満たされたので、案外コストパフォーマンスも悪くなかったのかもしれません。


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