「一応、仕事しています」と言いたくなる働き方

「一応、仕事はしています」

自分の働き方を説明するとき、なぜか「一応」をつけたくなることがあります。

今日は仕事、と言いながら、いつもと同じ部屋にこもるだけ。

何時から何時まで働いたのかも、はっきりしません。会社名も部署名もなく、傍から見ると、何をしているのかよくわからない。

謎の職業です。

「ちゃんと働く」の見本

私も30代までは企業に勤めていました。

決まった時間に出勤して、整った職場で働く。大きな組織に属していれば、「仕事をしています」と説明するのは簡単です。

けれど、その頃の私は、社会に属しながら猛烈に自由を求めていました。

好きな仕事をしながら、場所や時間に縛られず、ぷらぷら暮らす。

そんな人は周りにいなかったし、自分にできるとも思っていませんでした。

それなのに今は、当時の自分が考えていた以上に自由な働き方をしています。

あれほど欲しかった形なのに、いざ手に入ると「一応、仕事しています」と小さく名乗っている。

人の心はおもしろいものです。

望んだ世界は、見慣れた姿で来るとは限らない

私たちは、仕事には仕事らしい見た目があると思っています。

朝に家を出る。

決まった時間まで働く。

忙しそうにしている。

毎月、同じ日に給料が入る。

その見本から外れると、実際に仕事をしていても、どこか心もとなくなります。

けれど、お客様へ価値を届けて対価を受け取っているなら、それも仕事です。部屋にこもっていても、通勤時間がゼロでも、仕事は仕事。

自由な働き方を望みながら、手に入れた自由を「怠けているようで落ち着かない」と感じることもあります。

そこには、古い仕事の脚本が残っています。

望んだ未来は、想像していた肩書きや風景でやって来るとは限りません。

スーツではなく部屋着で来ることもあるし、満員電車ではなく自室のドアから始まることもある。

ちんたらして見える自由まで含めて、あの頃の自分が欲しかった世界だったのだと思います。

今の働き方を説明しにくいときは、ちゃんとしていないのではなく、まだ自分の中に見本がないだけ。

新しい働き方の最初の一人になったつもりで、堂々と「仕事をしています」と言ってもよさそうです。


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