あるとき、素敵だなと思うミュージシャンがいました。
音楽をしている姿も、普段の話し方も、とても魅力的です。
「あ、この人、好きだな」
そう思ったのに、その人の腕に大きく入ったタトゥーを見た瞬間、心がぞわっとしました。
その人のことは好き。
でも、タトゥーは嫌い。
好きな人の中に、自分がどうしても受け入れられないものがある。そのことに、心が落ち着かなかったのです。
好きなら、全部好きでいなければいけない?
好きな人の嫌いなところが気になって、混乱することはありませんか。
優しいところは好きだけれど、時間にルーズなのは嫌い。
一緒にいると楽しいけれど、タバコのにおいは苦手。
考え方は尊敬しているけれど、その言い方はどうしても好きになれない。
こんなとき、頭の中では「好きなの? 嫌いなの? どっち?」という会議が始まります。
好きなら丸ごと受け入れるべき。
嫌いなところがあるなら、本当は好きではないのかもしれない。
そんな二択にすると、どちらを選んでも少し苦しくなります。
「その人」と「嫌いなこと」を分けてみる
私がやってみたのは、その人と、タトゥーという事柄を分けて見ることでした。
その人のどんなところに惹かれているのか。
私はタトゥーの何が嫌なのか。そこに、どんなイメージを持っているのか。
一つずつ見ていくと、
「私はこの人が好き」
「私はタトゥーが嫌い」
この二つは、同時にあってもいいのだとわかります。
タトゥーが嫌いなのは私の価値観であって、その人の魅力が消える話ではありません。
同じ価値観でいてほしい、という脚本
好きな人には、自分と同じ価値観でいてほしくなることがあります。
私が嫌いなことはしないでほしい。
私が大切にしていることは、同じように大切にしてほしい。
でも、自分と違うものを持っているからこそ、惹かれることもあります。
同じ人間ではないのに、価値観だけは全部そろえてほしい。そんな都合よくはいきません(笑)
人生劇場で見るなら、ここで動いているのは「好きな人とは、同じでなければ安心できない」という脚本なのかもしれません。
相手を変える前に、好きなところと嫌いなところを、頭の中でいったん別々の席に座らせてみる。
すると、「嫌いなところがあるのに好き」という、少し複雑で人間らしい関係が見えてきます。
好きな人を丸ごと肯定できなくてもいい。
嫌いな部分が一つあるからといって、好きだったところまでなかったことにしなくてもいいのです。
人を好きになるというのは、案外、白か黒かではないのでしょう。
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