歩行器で歩く父が、次の目標を話すようになった

母から、一枚の写真が送られてきました。

家の廊下を、歩行器で歩いている父の写真です。

父は悪性リンパ腫の治療を受けたあと、足がしびれて立てなくなりました。

病気のほうは治っても、ある日突然、歩けなくなった。

本人も家族も、ずいぶん驚きました。

それから一年ほど、車椅子で暮らしていました。

治療が終わっても、家族の時間は続く

病気が治れば、元の生活へ戻れる。

そんなふうに思っていたところへ、別の課題がやってきました。

感覚のない足を少しずつ動かし、毎日リハビリを続ける。

回復は、ドラマのように一度に起こるわけではありません。

昨日より少し立てた。

今日は数歩進めた。

本人にしかわからない小さな変化を、家族も一緒に数えていきます。

離れて暮らす娘にできたこと

当時、私は東京に住んでいたので、二か月に一度ほど実家へ帰っていました。

母にはヘッドセラピーをして、父には指ヨガをする。

あとは、くだらない話をしてガハハと笑う。

治療もリハビリも、私には代われません。

家族が病気になると、何か特別なことをしなければと思いがちです。

けれど、心の栄養は案外いつもの会話の中にあります。

励ます人、励まされる人と役を固定しなくても、同じ食卓で笑える時間が支えになることがあります。

父は、次の目標を報告するようになった

心のことを学ぶ前は、父と二人で食事をしても、ほとんど話しませんでした。

ところが今は、帰るたびに回復具合を見せてくれます。

そして、「次に帰ってくるまでには、ここまでできるようにする」と目標まで伝えてくる。

娘の前では、かっこいい父でいたいのでしょう(笑)

歩けなくなった父を、家族が一方的に支えた話ではありません。

諦めずに挑戦する父と、それを隣で支える母の姿から、私も多くのことを受け取りました。

家族の誰かが弱ったとき、配役は一度変わります。

それでも、その人がずっと「助けられる役」になるとは限らない。

次の目標を語る声が、家族のほうを元気にすることもあるのです。


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