親が元気なうちに、名義や手続きを少しずつ整える

親が年を取ってきたな、と感じる瞬間があります。

歩く速度が遅くなった。
小さな文字が見えにくそう。
機械の操作を何度も聞かれる。

まだ元気だから大丈夫と思っていても、入院やけがは突然やってきます。

そのとき家族が困るのは、治療や介護だけではありません。

銀行、携帯電話、保険、身分証明書。

「本人でなければできません」と言われる手続きが、案外たくさんあります。

本人確認が必要なことほど、動けなくなると難しい

キャッシュカードの設定を変えたい。
携帯電話のプランを見直したい。
契約の名義を確認したい。

元気なときなら、本人が窓口へ行けば済む話です。

でも、車椅子での移動が必要になったり、入院中だったりすると、そこへ行くこと自体が大仕事になります。

家族だから代わりにできると思っていたら、できない。

委任状を用意しても、別の確認が必要になる。

手続きというものは、こちらが忙しいときほど容赦なく細かいものです。

準備することは、親を弱い人に決めることではない

親の老いについて話すと、

「まだそんな年ではない」

「縁起でもない」

と嫌がられることもあります。

子どもの側も、親がいろんなことをできなくなっていく未来を考えたくありません。

ただ、準備することは、親を「もう何もできない役」にすることではありません。

むしろ、今できるうちに本人の希望を聞き、一緒に決めておくことです。

どの契約が誰の名義なのか。
身分証明書は何があるのか。
困ったとき、誰へ連絡すればいいのか。

全部を一日で終わらせなくても、一つ確認するだけで違います。

手続きの話だけで、家族の時間を埋めない

親の変化に気づくと、こちらは先回りして心配し始めます。

けれど、親にはまだ新しくやりたいこともあります。

初めてスマートフォンを持ってみたい。
写真を送りたい。
便利な機能を覚えてみたい。

準備をしながら、今を楽しむ。

いつか見送る日が来ることと、今日を一緒に過ごせることは、同時に存在します。

家族の人生劇場は、終わりの準備だけをする舞台ではありません。

少しずつ整えながら、まだ増やせる場面も楽しんでいけばいいのだと思います。


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